※この記事は、Adobe Photoshop 2022(ver23.0)で記述しています。
Photoshopの「フィルター」メニューに、「ニューラルフィルター」という機能があるのをご存じでしょうか?
これは、AI機能を駆使して、クラウド処理で画像を編集(というより改変)してくれる、不思議な機能です。
使ってみた感じでは、まだまだ痒い所に手が届くというわけにはいかず、粗削りな感じは否めません。
しかし、さすがはadobe、普通に手動で編集すると膨大な手間になりそうなことを、一瞬でやってくれます。
なんだか未来を感じさせる機能です・・・今、人の手でやっているレタッチ作業なんかは、何年か後にはこれでできてしまうようになるのかも・・・実際にそうなるのでしょう。
ここでは、使ってみて面白そうだったニューラルフィルターをピックアップしてご紹介します。
「おすすめ」カテゴリのニューラルフィルター
「おすすめ」に分類されているのは、ある程度完成に域に近づいたものであると思われます。
しかし、特に「カラー化」などは、まだまだ伸びしろがありそうです。
肌をスムーズに
画像のレタッチのかなりの割合を占めるであろう、人物の肌の修正に特化したフィルターです。
下手にぼかしを使ったりすると、肌以外の部分にも影響がでてしまうことが多いですが、このフィルタを使うと、AIが肌だけを上手になめらかにしてくれます。
元画像。ちょっとそばかすが目立つ感じの女性です。
ニューラルフィルターの「肌をスムーズに」を、「ぼかし」「滑らかさ」ともにMAXで適用します。
ほどほどに元の様子も残しつつ、自然な感じで肌がきれいになりました。
肌がなめらかになっただけで、受ける印象がかなり変わります。
スキンケアは大事なんだと改めて思いました。
カラー化
モノクロの画像にAIが色を想像してつけてくれる、夢のような機能です。
しかし、決まったパターンと着色の因果関係が強いのか、周囲の状態に頓着せず、パターンに対して、ある程度決まった色を当てはめてしまうため、全体的には統一感のないおかしな配色になってしまうことも多いようです。
うまくいった例
こちらは元画像。
「カラー化」適用後です。光が差し込むようなモノトーンの画像への適性が高いようで、やわらかな日差しがきれいに表現されています。
うまくいかなかった例
こちらは元画像。雪道の風景です。
元画像のタイトルが「snow」なので確実に雪の風景であり、一部はそう判断されて雪のような色なのに、芝生や若葉だと判断された部分とまだらになってしまいました。
全体が雪系の色合いで統一されていれば、かなり的確な配色になったのではないかと思います。
AIがもっと進歩すれば、雪と判断された時点で全体を雪色に統一してくれるようになるのでしょうか。
スタイルの適用
画像を、選択した特定のパターンで再現してくれます。
ニューラルフィルターの「スタイルの適用」で、用意されたスタイルの中から、黒地に緑の数字が並んだものをピックアップ。これはどこかで見たような・・・?
これは、「マトリックス」風、でしょうか。
「ベータ」カテゴリのニューラルフィルター
「ベータ」とわざわざ断るくらいなので、まだまだ発展途上であると思われます。
それでも割とちゃんと効くので、今後のブラッシュアップが楽しみです。
スマートポートレート
元画像。目線が向かって右に行っています。
「スマートポートレート」の「目の方向」スライダで、目線を左いっぱいに寄せてみましょう。
驚くべきことに、目線が正面に来ています。
これを手動でやろうと思うと、ちゃんと目線にするために微調整が必要となり、かなり難しいのではないでしょうか?
表情補正の「驚き」をMAXにしてかけたのがこちら。確かに、「あっ」て顔してる感じに見えます。
adobeは、表情といったものを相当研究しているようです。
こういう微妙な加減が必要な補正は、手動ではほぼ不可能なのではないでしょうか。
目線を左に寄せるのと、「驚き」を両方かけた状態です。
これは、「驚き」を先にかけてから目線を寄せる処理をしています。
かける順番によって、結果に若干の差が出るようです。
調和
これは、あらかじめ背景と、それに合成したい被写体をレイヤーで重ねた画像を用意しておき、AIが背景になじむように自動調整してくれる機能です。
個人的には、すでに実用に耐える、かなり使い勝手のいいフィルターだと思います。
昼間にランニングしている被写体と、早朝の薄暗い風景を合成します。
ただ重ねても、まったく違和感しかありません。これを色調補正で馴染ませるのは骨が折れそうです。
「調和」で、主体を背景側にセットして、「強さ」をMAXでかけてみましょう。
「調和」を一回かけるだけで、まるでそこにいたかのような色調に整えてくれます。境界部分のなじませは別にして、色合いをたった数秒でここまで合わせてくれるのは驚きです。
これだけでも、レタッチ作業の大幅な時間短縮になるのは間違いありません。
風景ミキサー
画像に、選択した風景のテクスチャーをまとわりつかせることができるフィルターです。
風景を凍り付かせたり、緑に覆われた様子にしたりと、いろいろできます。
やや、フィクション寄りの機能です。
植物っぽさのない、幾何学的なオブジェと、石造りの建物の画像です。
「風景ミキサー」で、緑に覆われた様子にしてみましょう。
空はAIが判断してよけるようですが、建物もオブジェも、緑に覆われています。
この画像では、空はちゃんと避けられて、アマゾンっぽい雲になっていますが、光の加減などで、空と判断されない場合、そこも緑で覆われてしまいます。
まだまだ改良の余地あり、という感じです。
深度ぼかし
これは、いわゆる「被写界深度」を後付けで調整できるフィルターです。
元画像。手前から奥までばっちりピントが合っており、被写界深度が深い状態です。
「深度ぼかし」で「被写体にフォーカス」チェックを入れて、適用します。
このチェックを入れると、明確な被写体がある場合に、それを中心として、前後をぼやかしてくれます。
被写界深度の非常に浅い画像になりました。
ミニチュア撮影のようにも見えます。
ニューラルフィルターはまだまだ増える
ニューラルフィルターには、「待機リスト」があり、これから実用化されるであろう、新たなフィルターが準備中となっています。
「顔そのものを生成する」などといったものもあり、まだまだ面白そうなフィルターが使えるようになりそうです。